●5 アトピーだけでなくヘルペスまでも

ありがとう
ありがとう

 

 

ある会員が腰痛で指導室に来て、整体の後にこんな話をしました。

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兄弟の子供が泊まりがけで遊びに来たとき、
その子のアトピーがあまりにひどいのでビックリしてこの会員は

「これは放っておけない。何とかしよう!」と関わった。

ハッパをかけ、あれやこれやと手も打った。
しかし、良くなるどころかその子(以後A君)はかえって心身共にひどく落ち込んでしまった。


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実はこの会員(以後Iさん)は体のケアーが目的で来ている人なので
心身セラピー(*)を行う準備ができていません。

 

(「心身セラピー」とは私の仕事上の用語で、症状や心身の感覚を拠り所にして有益な気づきを得る方法です。このことが大きく自己回復に作用して人間関係が改善されたり免疫力、自然治癒力が向上して症状が改善することもあります。詳細はリンクをクリック)

 

 

そこでひとまず彼女が取っている立場や
その子との関係性がどうなっているかを整理してみました。

するとIさんはとても勘の良い人で深い気づきがありました。

そこで帰って自分のことについてA君に話したのです。

そうしましたらおかしなことに
その子の目が輝きはじめて少し活動的になってきました。

それで二人で買い物をしたりして楽しんでいるうちに
その子は益々元気になり、アトピーもさして気にしなくなりました。

そんなわけで二人はすっかりうち解けてとても良い関係性になりました。


その後、A君は実家に帰りました。

Iさんは実家に帰った彼となにかの折りに電話で話していて、

「○○ちゃん、あなた、両親の間に立って‥‥大変だったねぇ‥‥」

ふと、そのような言葉がスルッとでてしまった。

そうしましたらその子は電話の向こうで
「 ワーッ!」と泣き崩れたのだそうです。

すると不思議なことが起きました。

既に二人が親密になったことでアトピーは
引っ掻くほどでは無くなっていました。

しかし驚いたことに一緒に患っていた顔のヘルペスが消失したのです。



◆何が効いたのだろう?


例えば私がもしもA君に関わるとします。
先の話からしたら私は次のことに気をつけねばなりません。

第一に私はよほど具合いが悪い彼を見て

「これは大変だ。早くなんとかせねば!」この同情を脇に置かねばなりません。

最初のIさんのように同情や焦りを起点に病気を治そうとして
慌てて動くと、彼が落ち込むことになるからです。

「いや、私がその子供だったらその同情をとてもありがたく思って感謝する」

そう思われる方も中にはいるかもしれません。

しかし、A君の身体とそれにつながった感覚や心は
そうは感じないのだと私は思うのです。

少し分かりにくい話なので、A君についてもう少しお話しします。



A君は実家では親が病気を治すことが
その責務だと思っていろいろな病院に連れて行き、
薬その他あれこれと幼少のころからかてて加えて手を打ってきました。

そのため親は『 病気の姿としてのA君 』しか見えなくなってしまっていたのです。

親は身体的病気としての子供しか見てこなかった。

もしかしてこの親御さんは駄目だと思っていたのは子供ではなく自身なのかもしれない。

彼は二十歳になり、親せきの叔母(Iさん)の家に来ました。

ところが彼女の対応も全く親と同じでした。

A君の病に対する責任を持っていない彼女も全く親と同じ見え方しかなかったのです。

たぶんこのパターンはこの家系でずっと続いてきた可能性があります。

さてさて、ところがどうしたわけか、整体から返ってきた叔母は急に態度が変わりました。

誤った関わり方をしてしまった側としての自分、その内面を語り始めました。

彼の病に向けていた目を自分の方に向けたのです。



これでA君の病気とそれを治そうとして躍起になって
関わる者の関係性としての線が途切れたのでしょう。

病気を治そう、元気にしてあげよう、助けよう、
そういった立場を彼女は放棄しました。

これで病人としての子供の存在の影は薄くなりました。

次にIさんは彼が現時点で最も興味あることに気持ちを集中しました。

彼お気に入りの道具の部品が無くて二人は東京中を捜し回ったとか。

きっと体力も使っただろうに、

彼女はA君の中にある病気以外の気持ちの動きに集中し彼を信頼しました。


ここには、A君のアトピーやヘルペスが改善したのは、病気を治そうとしなかったからだという妙な現実があります。


「A君の病気を治してくれ」と、
もしも私のところへ連れてこられても私は病気を治すためには手を出すことはできません。

むしろ技術があるので私はなかなかムツカシイ立場です。

手を出せば彼を病人として見ているにかわりはないですし…。

長い間A君の立たされていた立場、それを思うと本当に涙を禁じ得ません。

相手よりもまず自分の問題として受け入れること(関わる側の気づき)、

コントロールや自分の弱さを脇へ置くこと(執着を手放す)能力が

ある者として自他を認めること(激励、愛)、

これらのIさんの気づきと行動が彼の身こころにかなったのでしょう。

ありがとう

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◇ヘルペスとは?

"ヘルペス"はギリシャ語で「這う(はう)」という意味があり、感染したときにできる発疹が神経の走行に沿って這う様に発症することからこの名前がつけられた。

「ヘルペス」は、「ヘルペスウイルス」というウイルスが皮膚や粘膜に感染して、皮膚が発赤し、水疱(水ぶくれ)ができる皮膚の病気の一種。全身どこにでも発症し、口腔粘膜、口唇、外陰部、指などに好発する。

実はヘルペスウイルスはごく一般的なウイルス性の病気で、世界の50%以上の人が原因ウイルスの一種である「単純ヘルペスウイルス」に感染していると言われている。

感染即発症とは限らない。それは紹介したこの話し自体からも想像がつく。

ヘルペスウイルスは、感染すると症状が治まった後も、ずっと体内にじっと隠れていて、普段は症状が出てこない。

しかし、疲れやストレスがたまって体が弱り、体の抵抗力が落ちると、突然症状が現れたりする。

例えば「帯状疱疹」などは、子供の頃にかかった水疱瘡のウイルスが長い間体内に隠れていた後、突然症状を現す病気のようだ。

ただ、一口に「ヘルペス」といってもこのウイルスは、8種類はあるらしく、症状はいろいろ。