●8.背骨が爬虫類のようになって…大丈夫でしょうか?-Mちゃん臨床(1)-

■「 やります 」

Mちゃんは六歳の時にお母さんに連れられてやってきました。

彼女にはムード的にほわ~んとした柔らかな感じがあり、

 

日本人形のような曲線美があります。

残念なことにアトピーの状態はひどく、回りの人も大分気にしていたようです。

さて、お母さんの説明を聞いた後、

これはちゃんと意志決定してもらわないと、

中途半端な気持ちでやるのはマズイと私は思いました。

それで次のように言いました。今年H21年から16年ほど前のことです。

「この病気は治ると思うけど、ただ、治療を始めると一気にもっと出るよ。

それは身体の細胞が古いのと新しいのが凄いスピードで入れ替わるのでそうなる。

そうやって出るだけ出てしまえば治るんだ。

大人になるとそういう変化はゆっくりになる。

子供の時の方が体の変化するスピードが速いんだ。

つまり大きなおねぇちゃんになってからだと時間がかかる。

先生は今でもいいし、ずっと先であなたが大きくなってからでもどちらでもいい。

あなたが自分で決めてください。」

するとそれまでじぃーっと私を見ていた視線を一度スッと右斜め下に落とし、
ちょっと間があってこっちをキリッとした目で向き直って

「やります」とそう言いました。

「分かりました」私はそう答えて
肝臓に軽い圧を加えた後に背骨に二箇所触ったと記憶しています。

でも、ある思いがあってほとんど刺激したかしないか分からないくらいで済ませました。



■ 意志決定の効果

さて、翌日から大騒ぎになりました。

アトピーが出るわ出るわ、膿も出るわ。
彼女の回りで何の情報も知らされていない人は過敏になりました。

Mちゃんの状態が悪くなったと思って、何を食べたらいいとか、
アレが効く、コレが良いと慌てたらしい。

しかしお母様の話を聞くと本人はひょうひょうとしているとか、
そんなことを話していました。

私の所へは月に1回ほどのペースで来てもらいました。

この月に1回という間の抜けたような間隔にしたのは理由がありました。

それを説明する前に、
まず第一回目の時にほとんど刺激しないに等しいくらいの
触り方だったことについて話します。

【 私が触ったことよりも、本人が意志決定したことが体に変化を及ぼすのではないか? 】

これを確かめたい思いがあったものですから、

実は刺激したと見せて何もしなかった。



■ 本人の自信を構築

月一回については、自らの勢いで噴火排泄があれば、
それが収まった後にしばらくは落ちついているという

「排泄から休息」とそこからの再構築があり、
それからまた栄養を溜めてそれを使って排泄反応があるだろうから、

「ははぁ、ダーッと出てその後は必ずは穏やかになり、
そうやって変わるんだなぁ」と、

そのプロセスを本人が実感したなら、
回りが騒ごうがどうしようが大丈夫だと考えたのです。

まぁ紛れというのでしょうか、
これがピッタリとその通りになったのです。



■ 爬虫類の背中のように

大波小波揺れ揺られと申しますか、何度か山を越しながら長期の波もあるようです。

でも、お母様もアトピーの問題が子供任せになったせいか、
4月でしたかお休みされて5月に来てその次梅雨前になっても来ませんでした。

どうしたのかなぁと思っていたら電話がかかってきました。

「凄いことになっています。それがあの…、黄色い膿が背骨の上に出て

それが乾いて盛り上がって爬虫類の背中のようになっています。

大丈夫でしょうか?」と。

これは大変良い傾向だと思いました。

原則として症状は悪化すると体の外側や手足の末端へと進む傾向があります。

本人の体が自力で排泄をしている内に力が付いてきて
外から中心へと力が集まってきたのでしょう。

背骨周辺の細胞の新陳代謝能力、蘇生力が高まって
排泄反応があったのでしょう。

実際それはトドメだったようです。

その後、アトピーはホンの少し残っただけなせいか、
本人は指導室に行くとは言わなくなったようです。


顔もスッキリし、肘、膝の裏に残っているくらいで、
Mちゃんはほとんど気にしなくなったのでしょう。

指導室にはサッパリ来なくなりました。

以後は忘れた頃にやってきては二、三回やるというペースになりました。

大人になってからもそのような調子で、
完全に本人がイニシアティブをとっていました。

鼻がつまり始めたといって来たりしていましたから
年頃特有の過食傾向の後始末に来ていたこともあったようです。



■ この臨床のポイント

・本人が自分の新陳代謝能力を信じる方法を自発的に決めたこと

・経過の感覚を本人がつかんだこと

この二つが臨床の要点であったと思われます。

そして、この臨床にはなんと!

アイデンティティー肌をピカピカにした!

という16年後の続きがあります。

 

 

外から中心へと向かう集中力が高まって
外から中心へと向かう集中力が高まって