●4 アトピーを治した赤ん坊

「野生、『新陳代謝』としか…」ヤマゴボウの花言葉は「野生・元気」
「野生、『新陳代謝』としか…」ヤマゴボウの花言葉は「野生・元気」

◆「感じる」この理屈ではないもの

3歳の幼児でもお店の前に立ったら

 

自動ドアが開くことを不思議がり、

自分が動くこととドア―の開閉に

 

関する因果関係を探ろうとします。

この因果関係を探ろうとする感覚は人間の素朴な本能かもしれません。


しかし、ものごと全てが『 原因と結果 』のリクツ通りにはいきません。

「どうしてあんな奴と結婚したいんだ!」と言われても説明がつかない。

そういうことってあります。

女性をデートに誘うには『 焼き肉屋は× 』っていう話があるかと思ったら

ある二人はいつも焼き肉屋でデートしていた。そういう話があるそうです。

「感じる」という感覚の世界は非合理なようでいて妙な合理性があったりします。



「 感じる 」このことにはとても不思議な力があると

そう思いませんか?



例えば、まれで有能な母親は、

赤ん坊がお乳を欲しがっているのを感じて、泣き出す前に差し出し、

大便が溜まっているのを感じてオシメを緩め、それでジャーッとでる。

この場合この話を支えているのは母親の感覚、勘所です。


「感じる」という理屈ではないものが

赤ん坊にとって「安心して依存できる!」という感じ方を起こし、

このことが人間信頼の感覚を育てる。

このことを私に教えてくれたのが野口整体でした。


この逆だと、子どものジェスチャーは返って誇張されたものに変容し、

母親はそれでテコズラされることに。

これで子育ての楽しさが半減するだけではなく厄介な作業に‥‥、

それが赤ん坊のストレスとなり‥‥。 嫌ですね、こんな話。

でもこれも現実ですし、私も子育てで沢山の失敗をしました。

私も子供が小便をする寸前におしめを弛めようと

意識を集中してみましたがあまりうまくいきませんでした。(笑)

これはきっと子育てや生活全体の流れの中でつかめるものなのかもしれません。

「…きのう、この子、丁度ご飯が炊けた今頃おしっこを…もしや!」

ゴソゴソ、ジャーとか。



◆本能的プロセス自体を尊重

私は次男、三男は自分で取り上げました。

今でも忘れません。

あの生きたへその緒の神秘な色。

そんな気分をプレゼントしてもらったにもかかわらず、

子どもを大変憎たらしく感じたことが幾度もあります。

人の感情なんてそんなに安定したものでもありませんし、

まあ、全然ゆらぎがないのも変ですが‥‥。



次男は生まれて少したってから約9ヶ月間酷いアトピーを患いました。

私は彼の欲しがる動物性のものを探してどんどん食べさせました。

自分の体に適さないと感じると「べーっ」って出してしまう。

「コ、ココ…コンチクショー!折角作ったんだから食べろよー。

材料代・燃費がどのくらいかかってるのか分かってんのかー」

何度もそう思いました。

しかし、嫌がるものは与えずにとにかく「 食べたがる 」この感じている

理屈以前の本能的プロセス自体を尊重しました。

それは勇気がいりました。


予想通りアトピーはジャンジャンでました。

辛かったー。ガリガリの傷だらけ血だらけの顔。完璧な全身アトピー。

お風呂で安易にぬるい湯に浸ければもう悲惨な現実。

もうヒドイ親であること間違いなし! 鬼! 薄情者!!!



◆知識以前の力「新陳代謝」

しかし、なんと!

これがですよ。これがです。

信じられないと思いますが、九ヶ月かけて出るだけでたら、

引き潮の如くサーッと消えていったのです。

正確には消えていったのだそうだ。現場を見たのは家内でした。

それが完了した頃、ふーーーっと大きく深い呼吸になって

ぐっすり眠ったそうです。



出先の私に家内から電話があって、

その日の彼の体の変化を聴いたときは感激だった。(涙) 

家内も良く頑張ってくれました。ありがとうと言いたい。


彼の中で何が起きていたのだろうか?


それは実にシンプル。


自分に必要なものを感じて食し、

体力をつけてそれを皮膚からの排泄に回すという

野生、「 新陳代謝 」としか言いようがありません。



私が関わったアトピーの人は

必ず体自体の排泄作用によって改善されています。


ただし、関与をこちらからお断りした方も中にはあります。

例えば抱えている問題が深すぎ、

体の自力変化に要する時間がかかりすぎると苦しみが増える可能性がある人です。

でもこういうケースでもメンタルな作業が随分と助けになることもあります。

ここではそのことに詳しくは触れません。


ご説明しようとしているのは、

人に与えられている自然の力としての「 新陳代謝 」です。



小さな赤ん坊には、知識などございません。

食べて美味ければ、それは即体が、イノチが欲しているものです。

感覚異常を起こしている過食症状態とは違うのです。

人の頭やパソコンで作り上げたコザイクと違うのです。

もちろんこのアトピーを改善した新陳代謝は九ヶ月という期間を要しています。

ですので一朝一夕という話ではありません。

しかし、時間には力があるのです。

そのカラダの自然を見つけることが出来て、

それを保ち守れば必ず答えが返ってくるのです。

実はこの我が子のケースが他の臨床を支えています。

私はこのことで体の自力というものに確信を持ったのです。



◆では、こころの新陳代謝は?

赤ん坊の身体における新陳代謝の話と大人の心の新陳代謝の話を

つなげていいものか、私自らが少々疑問に感じる面もあるのですが

敢えてここは感覚的に述べさせてもらいます。



私は仕事では最初のうちは体のサポートのみをさせていただいてました。

だから自然と身体のいろいろな症状、生々しい現象、

生き死に、これらにいやおうなく何度もご縁がありました。

実はそのことで自然現象としては

体も心も同質ではないかと思えるようになったのです。


体は物ではなく、心は機械でもなく。

どちらも新陳代謝する、丸ごと一つの「生もの」ではないだろうかと。



大人の体となると
赤ん坊の如く全体総入れ替えみたいなことは起きにくくなります。

しかし、生きている限り

心も体も次へ向かって新陳代謝しようとしていることも確かです。


だから私は「 何が悪いか 」より「 どのように変わろうとしているか! 」

このことに興味を持ち続けています。


あなたが抱えていらっしゃる症状も、

体や心がより良い状態に変わろうとしている一つの過程。

そのように受け取ってみること自体は不可能なことではありません。


先に息子が体の自力でアトピーを改善した

その新陳代謝の力について説明しました。

乳幼児・幼児期は心の自覚力が形成されていませんから

心の変革が大変難しく、むしろその環境(親など)が変化することの方が

問題解決に結びつくことがあります。



しかし大人はというと、どうやってもこうやっても

赤ん坊から幼児期にかけての変化能力を再現することはできません。

でも、心の新陳代謝能力となると大人の方が高いのではないでしょうか。



もちろん、この私が人間として心が完全に新陳代謝して

今を十全に生きているのかと問われても「いいえ」としか答えられません。



しかし、心の変革や気づきがご自身だけでなく回りまで

変えてしまうこともあるのです。

 

そのことについてはこのアトピーの臨床を読んでいただければ

 

大方のところで私が何をお伝えしたいかは分かっていただけると思います。