●1 僕のアトピーが良くなったのは何が効いたんでしょうか?


私は子供の頃に手がひどく痒くなる病気を抱えていました。

しかしその時のことはすっかり忘れています。

でもアトピーに関しては全身的なものもありますし、

多少良くなったくらいでは
さして改善したとは思わないだろうと、そう思っていました。

ところが、なんらかの形で私がアトピーに関わった人の中には、

完治しなくても「こんなにも良くなっている!」と、

こっちがびっくりするほどに気にしなくなった人が居るのです。



Kさんもその一人です。彼はその当時は大学院生でした。

彼は変わり者で、何故だか主婦に混じって
私の健康教室に参加していました(笑)。

主婦と一緒に体操をしたり背中やお腹に触って
互いに健康のサポートをし合ってきました。


そして確か1年くらい経ったときのことです。

そういえば以前より肌に張りがでているし、
あまりボリボリやらなくなっているので

「Kさん、このごろ肌の調子が以前よりいいみたいですね」と、

勇気を持って私は言ってみました。

人の感じ方は他人には分かりません。

「まだ、こんなの治った内ではない。」と、
そう言われるのが心配だったので緊張しながら言いました。

 しかし彼は

「そ、そうなんです。ホントーに良くなっているんです!良くなりました!」の連発。

私はホット胸をなで下ろしました。

そして回りの人も「そう言えば、Kさん、
ずいぶん良くなったわねぇ。」と言いだして、

そんな感じで場はワイワイ盛り上がりました。

ところが急に彼はまじめな顔になって質問しました。



「ボクがこんなに良くなったのは何が効いたんでしょうか?」と。

正直なところ一年も健康講座に通っていながら
この言葉にはショックでした。

「…そうか、やはり男性だと『何が悪いか』と
セットになっている意味での『何が効いたか』に関心がいくか…」

そう思った私は次のように説明しました。

「何が効いたのかというと、

この講座の第一の目的である体の季節変動、

つまり体が次の季節に適応しようとして

変化しているその働きに協力するように

体操や手当法を行ってきたこと。これが効いた。」


「次に、アトピーの方の皮膚は発汗能力が低い。

だから風呂に入ったそのときに、

体に無理がかからないような汗の誘導を行ったこと。

アトピーがひどい処や要所には適宜蒸しタオル(*)を当てたこと。

下痢をしたときに、体が体にとって不要なものを

出し切ろうとしていることとして協力、

必要な処理をしたことなど。これらが効いたのですよ。」と。



すると彼は


「体が次の季節に‥‥、風呂に入ったとき‥‥、
蒸しタオル‥‥、下痢‥‥、これらが効いたんですか。」と、

まるで学業の記憶作業みたいな言い方で
私が申し上げた通りに復唱したのでちょっと吹き出しそうになりました。

彼が月に二回通ってきて一年間来る間には
健康についてこっちはいろいろな説明の仕方をしてきているのです。

それに体の変化というのは頭の作業ではなく、
実感することは多々あったはずなのです。

だから私は彼なりのリアルとつながった言葉になっているのだと

思っていたのですが意外にそうではなかったのですね。


ただ、その講座は『 アトピーを改善するための講座 』
そういった特別な講座ではなかったものですから

彼も「気がつけば…」だったのかもしれません。

 一年もつきあっていて、
徐々に変化したものは分かりにくいです。

ですから、私にとってもまぁいわゆる「気がつけば…」だったのです。

 本当に彼が聞きたかったのはもっと細かい面、
つまり学術的で科学的なことだったのでしょう。

私も男性ですのでその気持ちが分からないでもありません。

しかし、整体(*)心身セラピー(*)で体の感覚や動き等の
生の反応を相手にしている私の世界は言わば体験科学です。

11番の背骨の可動性があれば糖尿の人でも食べても大丈夫
というような世界なので数値化できないのです。

人の感覚を普遍的で公平に数値化して
扱える方法がないと、これを科学の場には持ち込めません。

でも、その背骨の感触を散々ゲーム機に触ってきた息子に
調べさせてみたら、何も教えたことがないのに

「ここにヌルッとした緊張があって」とか言ったりします。

ある程度訓練すると、


例えば下痢をした後は腸の関連椎骨の可動性が
良くなっているなどは誰でも分かると思います。


こういったケースでも他の症状でも
私の基本的観点はあまり変わりません。


  病気を改善するという目標を持ちながらも
  それと同時にそれ以上に体全体の健康度を
  回復すること

それを私は大切に考えています。

K君はしつこくアトピーが出ているところに蒸しタオル(*)をあてました。

これはその部分をケアーする意味があります。

皮膚の迷走神経が過敏になって
痒みが増している処に的確な温度で蒸しタオルを当てると、
その神経過敏が取れて皮膚も引き締まるのです。

これは治すというのとは違いますが気分も落ち着くものです。

 

 

 

彼のケースの要点は、

 

日常的に体の都合に合わせたケアーを怠らなかった

努力ポイントの蓄積かと思われます。

 

一年というと長いような気がします。

しかし、あれやこれやと済ませなければならない事の合間に、

自分で出来る簡単なことをやっている内に「スッカリ良くなった」

何て言われて、小学校の4年間くらい手が痒くて病院に通ったりして

悩んだ私はちょっと羨ましい気持ちにもなりました。  

 

ケアーを怠らなかった努力ポイントの蓄積-小手毬(コデマリ)の花言葉は「努力」
ケアーを怠らなかった努力ポイントの蓄積-小手毬(コデマリ)の花言葉は「努力」