【1-1】記憶力増進が喘息改善に
記憶力を増進する体操は喘息の体操ではなかった。ではナゼ…?
病に見舞われると、私達は自分が劣っているという思いに取り込まれます。
しかし、小さくとも自分の中に力を見つけると、状況は大きく変わります。
■ 内的な動きの変化が喘息の改善に効果をもたらした
以前、あるフランス人に「 高校生の息子の喘息をなんとかしてくれ 」と頼まれた事がありました。
私は片言英語しか喋れませんし、ましてやフランス語はサッパリです。
どうしよう‥‥と心細かったのを今でもよく覚えています。
英語は喋れなくても会話だけでも頑張っておけばよかったと不勉強を悔やみました。
伺ってみると、彼は上の学年に上がるための年度試験の勉強に追われていました。
フランスの学校制度は上の学年に上がるのはきつく、それ自体が受験に匹敵するのです。
だから彼も必死に勉強していました。
それで2回目に行った時、
「 自分の頭はバッドメモリーだ。何か良い方法はないか 」と
聞かれて、記憶力を増進する体操というのを教えました。
この手の体操は頭が過敏になることがあるのでちょっと躊躇しました。
でもやり方の注意点を身振り手振り、あの手この手で何度も説明して教えてみました。
なんと!次回行ったらとても喜んでいて、
「グッドメモリー!」「ありがとう!」を連発。
とにかく彼は一ヵ月後の試験にパスすることが出来た。これにて一件落着。
いや二件です。
そう、喘息も起きなくなっていた。
喘息に関しては一、二回骨盤を中心に少し整えただけでした。
この時私は「 果たして喘息の操法だけで治ったのだろうか? 」と思いました。
整体を行なって呼吸は大まか楽になってはいたもののそれが効いたとはっきりした自信は持てなかったからです。
// 記憶力を増進する体操は喘息の体操ではなかった。ではナゼ…? //
もしかして記憶力を増進する体操を行なったことも別の意味で援助したのではないか、そう考え直しました。
つまり体操そのものが効いたというよりも、
[ 記憶力が良くなったような気がする ]→[ 意欲が出る ]→
[ 自力に自信が持て始める ]→[ 胸部交感神経の働きがノーマルになる ]
こんな具合に、彼の【 内的な動きの変化 】が、症状下の潮流にマッチしていたことが
喘息の改善に効果をもたらしたのではではないか、そんな気がしたのです。
■ 症状下にある潮流
症状があってそれと闘ったり焦っていると、生命の側の都合といいますか、
症状下にある潮流には気づきにくいものです。
本人も不安定な心理状態にありますし、時に指導側もそれに巻き込まれてしまうこともあります。
まあ、ですから私にとって彼のケースは瓢箪から駒がでたようなものです。
このフランス人の場合、例えば「この喘息は心身症である」とかいう観点からメンタルな取り組み方をしたのではありませんでした。
この臨床例はかなり古いもので、その当時まだ整体のみでした。
しかし、適確に自然治癒力に響くメンタルな指導方法があれば
もっと自分の理想的な指導ができるのではないか、そんな思いがよぎったのは確かです。
私たちはバランスを失って倒れそうになったとき、考えなくてもサッと手を出したり、それなりの本能的ともいえる行動をとっています。
だから、それと同じような心理的といってよいかどうか分かりませんが、
ひとまず病的な状況に対してバランスをとって改善に向かう
内的な勢いあるいは欲求が奥にはあるのではないか?
その欲求を生じさせるものが何かは私にも分からないのですが、
もしもあるとしたら、言葉としては自然性維持力としか言いようがないかと私は考えています。
心身セラピー(NRTワーク)(*)ではこの潮流に気づくことにウエイトを置きます。
それで大変な近道ができることがあるのも事実なのです。
・‥…→ (1-2) 症状下の潮流 母と子(膝痛で歩けない姉、アトピーの妹)三人の関係性改善を導いたのは夢だった
こういうのは取り替えるしか…